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  • 【マッチレビュー】2025リーグワン:静岡ブルーレヴズ対浦安D-Rocks

    【マッチレビュー】2025リーグワン:静岡ブルーレヴズ対浦安D-Rocks

    みなさんこんにちは
    リーグワンも、第3節が終わりました

    今節の試合から、磐田で行われた静岡ブルーレヴズと浦安D-Rocksの試合について、振り返っていこうと思います

    静岡ブルーレヴズ

    <アタック傾向>

    ブルーレヴズは1−3−3−1をベースにした、FWを起点としたクラシックなスタイルに合わせて、接点に強みのあるBK陣を組み合わせることで外から中に向かって攻め込むようなアタックを見せています

    エッジにはヴェティ・トゥポウ選手やクワッガ・スミス選手のような機動力と強さを兼ね備えた選手を配置することが多く、全体を5レーンに分けて考えた時に中央と外の合わせて3レーンに強みのあるスタイルであるということができます

    特にトランジションのような相手のディフェンスラインの中のFWとBKの比率が乱れているようなシーンではエッジで接点を作ってから大きく外方向に展開することで、FWとBKのミスマッチを作ることでラインブレイクも果たしています

    基本的なアタックの要素となるのは9シェイプと呼ばれるFWの選手による集団の単位で、ラインアウトのようなセットピースからエッジ方向にどんどん9シェイプを当てる様子が見られています。

    その連続した9シェイプに対してFWの選手は順番に走り込むことでオプションとなり、ポッドをベースとした一塊になってアタックを作り上げていました

    特にゴールが近くなるエリア、敵陣22mラインを超えたようなエリアに入ると、9シェイプは激しさを増し、どんどんとフラット気味に走り込みながら相手との接点を作るようになっていきます。フラット気味に走ることで相手ディフェンスに詰める猶予を与えず、接点で押し込むことができれば最も効率的な前進の手段です

    また、この時に効果的に働いているのがピック&ゴーの動きで、ブルーレヴズには1人で前に出る選手が揃っていることもあり(スミス選手や12番のチャールズ・ピウタウ選手など)、相手に下がる猶予を与えずに素早くボールを持ち出すことで相手のディフェンスラインを下げることに成功していました

    ブルーレヴズが基本的に勝負の土俵に持ち込みたいのはこのエリアで、如何にこのエリアに入るか、というところに重要性を見出しています

    ただ、このエリアに入ることこそ多かったものの、アタック全体は不安定なまま試合は続いていくことになります。数値は後ほど見ていくこととしましょう

    また、ポッドの作り方としては、4人ポッドや5人ポッドを使っていたように見えました。隣のポッドと混ざったグラデーションの2つのポッドだったかもしれませんが、多くの選手が一塊になって並ぶシーンが散見されていました

    4人ポッドに関してはCTBの選手が絡むことも多く見られていました。12番のピウタウ選手や、13番のシルビアン・マフーザ選手のような選手が4人ポッドの柱となり、ラックなどからボールを受けてスイベルパスで裏の10番、家村健太選手や筒口允之選手にパスをしていました

    5人ポッドではSHからの投げ分けが発生することで相手に選択肢を作り出し、相手に選択肢を押し付けた状態で接点で前に出るという形をとっていました

    <アタックの課題>

    アタック全体での課題としては、何よりもハンドリングエラーが挙げられることでしょう。ゴールに近いエリアに何度も侵入していながら、奪ったトライは3つと効率的ではありませんでした。その多くの要因は、肝心な部分でのパスやキックのミス、接点でボールをこぼしてしまうといったハンドリングエラーによるものです。

    また、相手のディフェンスラインからプレッシャーを受けたことも影響しています。D-Rocksのディフェンスの精度は昨シーズンから改善が見られ、接点の強さとコントロールのバランスが良くなっています

    その結果として、パスの出し手と受け手の両方がプレッシャーを受けることでパスミスが起きたり、プレッシャーを避けるためにパスの出し手がスタンディングでパスを出すようになって前に出面くんあるという現象が見られていました

    最後に気になった点として、ブルーレヴズのアタックではティップオンのオプションが効果的に働いていなかった、という点が考えられます

    ティップオンとは、ポッドでボールを受けた選手がそばにいる選手に浮かすようにパスをすることですが、このティップオンが効果を発揮していませんでした

    ブルーレヴズもティップオンを活用しようとしていましたが、相手のプレッシャーもあってかパスの出し手が立った状態で少し浮かす程度の動きにとどまっており、ディフェンスとしては出し手のディフェンスから視線を切りやすい状況が生まれていました

    <キック戦略>

    キック全体の動きを見ると、ブルーレヴズはカウンターを多く用いていました。どのようなエリアであっても早い選択肢にカウンターが入ってくるような形です

    カウンターの質自体はそこまで悪くはなく、15番の奥村翔選手のような走力があって相手をずらすことのできる選手がいるので、自陣22mライン付近まで押し込まれても、イーブンな位置であるハーフライン付近までは戻すことができていました

    ただ、一部の選手には蹴り返して脱出を図るといったオプションが薄い時もあり、苦しいカウンターを仕掛けてターノーバーやペナルティを誘発されたりといった状況も見られていました。ここは修正・調整をしていきたいところではないかと思います

    <ディフェンス傾向>

    基本的に接点に強いディフェンスラインを整えているので、苦しい時間帯自体はそこまで多くなかったようには見えました。ラインブレイクをそこまで極端に引き起こされたわけでもなく、ある程度は守ることができていたと思います

    ただ、細かい部分ではディフェンスに揺らぎが見られており、今回の試合でブレイクされてしまっていたり、今後の試合に響いてきそうな様子が見られました

    特に注意していきたいのがエッジに近い位置でのディフェンスで、エッジ側がショートサイドになった時、選手が内側による傾向が見られています

    これは、エッジのエリアに参加しているD-Rocksの選手が影響していて、1人で場面を打開できるようなサム・ケレヴィ選手のような選手がエッジにいることで、意識がケレヴィ選手に向かいその外に張っているランナーから視線が切れていることでブレイクが起きていました

    また、ゴールに近くなると、選手間のディフェンス戦略に違いがみられていたことも気になるところです。一部の選手は相手のアタックラインに被せるような動きを見せて、また一部の選手は少し引き気味で受けるようなディフェンスを見せていました

    浦安D-Rocks

    <アタック傾向>

    D-Rocksのアタックは、悪い言い方をしてしまえば単純で、「接点で打ち勝つことでリズムを作り、崩れたところからブレイクを図る」といったものです。単純でありながら難しい課題を、D-Rocksは安定した前進戦略で実現していました

    キーになったのは、「前に出ることに長けた選手」にその役割を全うさせたことです。例えばNO8のヤスパー・ヴィーセ選手や、リザーブから出場したタマティ・イオアネ選手のような、接点に長けた選手に複雑なタスクを任せていないように見えました

    これは決して悪いことではなく、それ以外の選手に関してもタスクを単純化することによって、一つ一つの役割が明確になり、認知的負荷を抑えることができていたように感じました

    また、今回の試合では特徴を持つ選手がその特徴を遺憾なく発揮することができていたということも、調子の良さにつながっていることがわかります

    特に好調だったのがサム・ケレヴィ選手とイズラエル・フォラウ選手の元ワラビーズコンビでした。ケレヴィ選手は接点、フォラウ選手は空中戦で自身の能力を最大限に発揮していました

    ケレヴィ選手はオープンサイドとショートサイドの両方に顔を出し、中でもショートサイドでのアタックに強みを出していました。ショートサイドに器用で体の強いケレヴィ選手がいることで、相手選手はケレヴィ選手を抑えざるを得ない状況となり、結果的に外方向に数的・位置的なズレを作ることができていました

    フォラウ選手はとにかくハイボールでの競り合いが強く、ハイパント・ボックスキックだけではなく、キックオフからの競り合いでも強いプレッシャーを相手にかけていました。相手のスコアからのキックオフを再獲得することで、効率よく敵陣に入ることができていました。

    また、一般的なフェイズの中でもハイボール系を競り合い、再獲得することで、精度良く前進することができていました。ハイボールからの競り合いで確保ができれば、相手ディフェンスは崩れた状態になります

    エッジ方向へのクロスキックもフォラウ選手は十分に対応することができるので、エッジ方向に蹴り込むことでそちらに寄らざるを得なかった相手ディフェンスを崩すことができていました

    それ以外の選手の動きに関しても、テンポがよく、接点をベースにアタックをすることができていました

    あえて言葉にすればセミストラクチャーのような、完全に組み立てたストラクチャーと、崩れた状態から始まるアンストラクチャーの中間のような状態で、D-Rocksは強みを発揮します

    エンジンがかかっていくかのような、何度もFWの選手を中心に相手との接点を作ることで、細かく相手を揺さぶっています。その中でD-Rocksはパスを細かく繋ぐことで相手との位置関係を細かくずらし、強みである接点をさらに優位な状況で生かしていました

    <ディフェンス傾向>

    D-Rocksのディフェンスは、昨シーズン位比べると改善が見られていたように感じます。大きく崩されるシーンが減り、崩されても致命傷にならないといった最後の粘りが見られていました

    効果を発揮していたのが、日本人選手をはじめとしたロータックルの精度です。相手を素早くテイクダウンすることで上の空間をとることができており、相手のサポートを上回ってプレッシャーをかけることができていました

    また、そもそも接点の強さの強度が高く、相手の接点をある程度抑え込むことができていました。時々差し込まれることもありましたが、基本的にはいい体の当て方ができていました

    特にエッジでのディフェンスが堅く、フォラウ選手やケイレブ・カヴバティ選手のような選手のディフェンスの質が非常に高かったです。相手の外に流れるような動きに対してしっかりとついていき、相手を素早く倒すことができていました

    ただ、オプションのないポッドアタックには強さを発揮する一方で、オプションがある場合は少しずらされるようなシーンもあったため、修正の余地はあるようにも見えました

    ゲームスタッツを確認する

    画像

    それでは、次にゲームスタッツを見ていきましょう

    ポゼッション、テリトリーはブルーレヴズがそれぞれ上回っていました。特にテリトリーに関しては61%と高い水準で確保しており、敵陣に相手を押し込むことができていました。

    しかし、その割にブルーレヴズは敵陣22m内への侵入回数が13回と控えめな回数になっています。このことから、主なプレイングエリアが中盤であったことが想像できます

    D-Rocksは敵陣22mへの侵入回数が9回で4トライを奪っていたりと、比較的効率よくスコアをすることができていたと言えます。実際のトライシーンも、敵陣ゴール直前よりも前段階からブレイクをしてトライに至っていました

    キャリー・パス・キックの比率を見ていくと、ブルーレヴズがそれぞれ173回/236回/7回、D-Rocksは121回/156回/27回という数値になっていました

    ブルーレブズのスタッツで気になるとこととしては、キックの異常な数値の低さでしょうか。本来であれば20回程度は生じうるキックが7回というのは非常に少ない数値であると言えます

    ブルーレヴズは自陣で受けたキックに対してカウンターを狙う姿勢が強く、キックを蹴り返して脱出やエリアをコントロールするような回数自体は少なかったように思います

    D-Rocksはキャリーに対するパスの比率が一般的な水準よりも少し低いような水準となりました。9シェイプやワンパスで選手がキャリーする回数が多く、比率が減少していたことが考えられます

    また、目立った数値としては、ブルーレブズのターンオーバーロストの回数が気になるところでしょうか。20回というのは相当多い数値で、一般的には15回程度で多めという形になるかと思います

    ブルーレヴズはハンドリングエラーが多く目立ち、チャンスになったシーンでのパスミスが多く見られていました。エッジにキーになるランナーが揃っている中で、そのランナーにパスが回らないというのは非常に惜しい結果となりました

    まとめ

    今回の試合結果としては、意外、というコメントが多かったのでhないでしょうか。2節で埼玉ワイルドナイツにいい試合をしたD-Rocksでしたが、その勢いのままに、前年度のトップ6のチームに勝利を収めることになりました

    ブルーレヴズとしては、ハンドリングエラーを減らすことが修正のスタート地点になるかと思います。それ以外の要素に関してはそこまで悪い結果ではなかったと思っているので、まずはミスの母数を減らしていきたいところです

    D-Rocksとしては、こだわる部分を絞ってきたように見えました。いい意味で複雑なことを減らし、シンプルな勝負の土俵で細かい勝利を収める、といった形がうまくハマっていたように感じます

    今回は以上になります
    それではまた!

  • 【マッチレビュー】2025リーグワン:横浜イーグルス対静岡ブルーレブズ

    【マッチレビュー】2025リーグワン:横浜イーグルス対静岡ブルーレブズ

    みなさんこんにちは
    ついにリーグワンが開幕しましたね
    数多くの試合が予定されていますが、こちらでも一部試合をピックアップしていきたいと思います

    今回は、日産スタジアムで行われた横浜イーグルス対静岡ブルーレブズの試合を見ていこうと思います

    横浜イーグルスのラグビー

    イーグルスのアタック様相

    イーグルスは、司令塔となるSO田村優選手が柱となるアタックを見せていて、プレイメーカーによるコントロールを重視したアタックをしているというのが一般的なイメージになるかと思います
    田村選手を灯台に、その周囲でオプションになるように走り込むことがベースになります

    田村選手のコントロールは単に自分がボールを受けて展開のハブになるだけではなく、ラックの後ろから味方選手に声をかけて田村選手の指示のもとでポッドを動かしていることが試合映像からも見て取れます

    それに加えて、重要になるのがCTBの梶村祐介、ジェシー・クリエルの両選手の役割で、田村選手のボールタッチに合わせて、この2人の選手のボールタッチが多い傾向を示していました

    イーグルスのアタックのベースはCTBも組み込んだポッドワークを中心にしており、CTBの選手がポッドの中心となって積極的にキャリーに持ち込んでいました

    特に12番の梶村選手と13番のクリエル選手の役割としては、ポッドの先頭に入る、または梶村選手やクリエル選手がそれぞれボールを受けてキャリーをするというパターンが見られています
    2人で完結するポッドとしても組まれており、FWだけでポッドを構成するよりも数的に安定することが考えられます

    この2人の動きとしては、中盤に立つ2人ポッドの脇に立つ形から始まります
    ラックから直接パスを受けた梶村選手のクリエル選手へのショートパスでキャリーが発生し、そばにいた2人ポッドの片方の選手と梶村選手がサポートに入ってラックの最小単位である3人のラックを完結させる形をとっていました

    ポッド中心のアタックはゴールが近くなると特に顕著になり、CTBも積極的にボールを受けにいくことでラックから様々な距離感で接点を作ることに成功しています
    ポッドを安定して供給することで、テンポが遅れたりアタックが単調になることを避けることができます

    最も脅威度の高いオプションとしては、「ゲインを果たした」という条件下の元での9シェイプと10シェイプの組み合わせが挙げられます

    大きくゲインした後、スッと3人の9シェイプポッドがアタックラインの前に参加して、裏に立つプレイメーカーの田村選手へスイベルパスを下げる形を取ります
    スイベルパスを受けた田村選手はアングルをつけて走り込んでくる10シェイプに対してパスを出し、10シェイプポッドでキャリーをする、という形を取りました

    エッジでゲインをすると、ブルーレブズのディフェンスはまず9シェイプポッドを押さえるようにディフェンスラインを構築します
    その過程の中で中盤の10シェイプを押さえる位置に立つ選手が9シェイプ寄りのカバーをすることによって、中盤にディフェンスの薄いエリアが生まれていました

    それ以外に好んで用いていたのが、「リードブロック」というプレーです
    これは、アタックラインに対して1人の選手が突出してボールを受けるように走り込み、その裏を通して本来のアタックラインやポッドにボールを供給する形です

    この形がなぜ効果的かというと、理由はシンプルで「相手を寄せることができるから」になります。
    リードブロックをする「リードブロッカー」はラックの周囲を守る「ピラー」や「ポスト」と呼ばれる位置の選手に対して走り込むことで、そこを守る選手は走り込んでくる選手に対して位置取りを寄せなければならず、結果的に裏のアタックオプションが有利な状態で前に出ることができていました

    一方で、こういった構造的なアタックで数的優位やすれ違いを作ることができたシーンはそこまで多くはありませんでした

    理由として考えられるのは、ボールを受ける選手の深さやコース取りなどが考えられるでしょうか
    基本的には作り出した構造の近くですれ違いなどを作りたいところですが、アタッカーの位置取りの関係でブルーレブズのカバーを受け、うまく抑えられていました。

    また、それ以外の要因として、FWの選手が位置的に散っていることで、アタックオプションを豊富に準備できていないということが考えられます
    両サイドにバランスよく配置されることによって片方のサイドに数的優位を作れていないことが推測されます

    チェックしていた限りでは、構造にこだわりすぎるよりも、シンプルなラインで個々人のスキルセットを活かした方がより前に出られるシーンが多かったように感じました
    接点の強さがある選手が多く揃っており、しっかり前に出ることができていました

    イーグルスのディフェンス様相

    ディフェンスを総合的に見ると、苦戦したシーンが多かったのではないかと予想されます
    特に、新入団選手だったセミ・ラドラドラ選手の接点の強さや器用さにやられたようなシーンが多かったのではないでしょうか

    ブレイクされたシーンを確認してみると、例えばトランジションディフェンスで大きくブレイクされたシーンが見られていました
    このシーンでは、アタックの人数に対してディフェンスで人数が十分にカバーできているのに、流す意識が強すぎて内側のカバーが遅れたスペースをオフロードでブレイクされていました

    このように、イーグルスのディフェンスは比較的流す傾向があるように感じます
    数的不利ができないようにかなり横ベクトルの強い流し方をしており、その中で内側の選手がバッキング、相手ランナーの前に大きく回り込むようなコースをとっていました

    その傾向によって内側からディフェンスを押し上げる圧力が弱く、内側へ切り返すことが得意なWTBの選手や、オフロードの得意なラドラドラ選手の内返しのパスといった、外から内へとボールが動くプレーによってディフェンスが切られるシーンが見られていました

    また、相手の浅いアタックラインに押し込まれているような様子も見られていました
    ブルーレブズのアタックの強みは走り込みながらポッドを当てるような接点のモメンタムであり、その強みを受けてしまっていたように感じます

    特徴的な「やられ方」としては、敵陣深くでのディフェンスが挙げられます
    ブルーレブズの自陣深くからの展開で何度も大きなゲインを生み出されており、崩されているシーンが目立ちました

    この要因としては、イーグルスのディフェンス戦略にあります
    イーグルスのディフェンスは敵陣深くでハードなプレッシャーをかける傾向にあります
    BKの選手も流さずに詰める傾向があり、この部分で左右の味方選手との連携が途絶えることで、大きくゲインされていました

    静岡ブルーレブズのラグビー

    ブルーレブズのアタック様相

    シーズンの序盤ということでまだ固まり切っていない部分もあると予想できますが、試合を見た感覚ではポッドベース、アタックブロックとも呼べるような戦略でアタックをしているように見えました

    アタックでは3人ポッドをベースにして、接点に強い選手をどんどん当てて、BK陣にも揃っている接点の強い選手を当てこんで、リズムを作ろうとしているように見えました

    好んで用いられた動きとしては「スイング」と呼ばれる動きです
    これは、ラックやセットピースなどの後ろや反対側から、振り子のように反対側に回り込むことで、動きの中で数的優位性を作り出す動きです

    ブルーレブズは、このスイングを複数の選手が同時多発的に使うことによって、基本的には後手に回らざるを得ないディフェンスに対して、先出しで数的優位性を作っていました
    複数人が幅広くスイングする「ロングスイング」と、少ない人数で細かくスイングする「ショートスイング」をうまく使っていたように思います

    ここでキーになるのがイーグルスの項目でも述べたラドラドラ選手で、ラドラドラ選手は強い体を持ちながらも、器用さを兼ね備えた選手でもあります

    ラドラドラ選手はこれらのスイング動作の中で表のラインに入ったり、裏のラインに入ったりすることで、起点となる位置関係を切り替えています
    オフロードパスの選択肢がある選手がこのように位置関係をフェイズごとに切り替えることによって、結果的に相手のディフェンスの対応が難しくなっていました

    ポッドの活かし方に関しては、ポッド間の距離がそこまで離れておらず、ほぼくっついたような状態になっているシーンも見られました
    一つのポッドと見る見方もありますが、私はこの状態のことを、「スティックポッド」と呼んでいます

    2つのポッドを組み合わせることで、アタックオプションのバリエーションが増加し、一つ・二つのパスだけで様々なアタックをすることができます
    サポートも安定するので、一つの接点としての安全性が担保されていました

    今回の試合で見られた特徴としては、自陣から積極的にアタックする姿勢を見せていたことです
    ポッドをスプリットしてCTBの選手を介した展開をすることによって、相手のディフェンスを中盤に寄せて展開することで、走力のあるWTB陣が効果的に前に出ることができていました

    イーグルスのディフェンスは、正直なところブルーレブズ側の陣地深くでのディフェンスが意思統一されているような形ではなく、個々の動きで詰めてしまうような様子が見受けられていました
    そういった相手のディフェンスの傾向を読んだのか、非常にうまく噛み合ったアタックをしていました

    反省材料としては、キックオフを安定して確保することができていなかったことでしょうか
    そこまでプレッシャーを強く受けたわけではなさそうでしたが、ハンドリングエラーや、相手に容易にボールを確保されることによって、スコア後のキックオフレシーブの機会を手放すことになっていました。

    また、アタックの脅威度として、ボールを受けながら同時に走り込む「ラン&キャッチ」であれば、相手にとって非常に強い脅威となっていましたが、テンポが遅くなった時にボールを受けてから走り出す「キャッチ&ラン」の時の脅威が下がっていました

    これに関してはブルーレブズに限った現象ではなく、どのチームでも同じ現象が起きるかと思います
    今回の試合では、ブルーレブズは必ずしもテンポが出しきれていたわけではなく、プレッシャーを受けることで全体的にテンポがゆったりとしていたようにも見えました

    ブルーレブズのディフェンス様相

    ブルーレブズも、イーグルスと同様に相手のアタックにある程度差し込まれているような様子が見られました
    状況としては、ディフェンス間のスペースに入られることによってダブルタックルの精度が少し下がり、1対1の繰り返しになっていました

    イーグルスはモメンタムを出しながらアングルをつけたキャリーを得意としているため、このアングルをつけたランニングに一定数やられていたように感じます

    また、苦手としていた状況として、ゲインされた後のディフェンスに乱れが出ていました
    それ以外のチームでも見られる傾向ではありますが、今回の試合では顕著な動きが見られています

    特徴としては、ブルーレブズのディフェンスの優先順位として、ゲインをされた後はまず9シェイプの位置を押さえようとします
    近くにいる選手に合わせて、少し外側の位置に入っている選手も、寄るような動きを見せます

    イーグルスは、ゲインした後のフェイズにスイベルパスを挟んだ打点をラックから話す動きを見せることが多く、このラックからボールが離れる動きでラックに近い選手が切られてしまい、薄くなった10シェイプの前方に立つエリアを攻略、または攻略されそうになる状態が生まれました

    ただ、一般的な階層構造、表と裏の関係については非常に丁寧にディフェンスをしており、詰めすぎず引きすぎずといった、バランスの良いディフェンスをしていました
    それが、大まかな領域で相手のアタックを止めることができたことにつながっています

    選手にもよりますが、フロントドアを切ってバックドアの選手に詰める「スイム」の動きもきっちりできていました
    イーグルスのアタックが、基本的には裏ベースのアタックをしていたことも影響しているかと思います

    まとめ

    初戦ということもあり、両チームともに反省材料がいくつか得ることができた試合ではないかと思います
    修正が効けばイーグルスにも勝利の可能性は十分にあり、またブルーレブズも修正で相手を圧倒することもできるでしょう

    今回は以上になります
    それではまた!

  • 【日本代表コラム】日本代表のバックスをロールに注目して考察する – グラデーション化したロールを分類して考える

    【日本代表コラム】日本代表のバックスをロールに注目して考察する – グラデーション化したロールを分類して考える

    みなさん暑い中いかがお過ごしでしょうか

    日本代表のウェールズとの2連戦が終わりました(マオリ・オールブラックスとの試合を含めれば3試合)。
    少しずつ今シーズンの日本代表の戦い方といったところが見えてきたところではないでしょうか。

    そんな中、Xにて選手の果たしている役割を知りたい、というコメントをいただきました。
    実際、近年のラグビーでは、特にBKの選手の役割の多様化が進んでいます。兄弟アカウントでもあるUNIVERSISでも過去に触れてきました。

    https://note.com/embed/notes/n60a51bdff8b6

    そこで今回は、日本代表の試合メンバー、特にウェールズとの2連戦に出場したBKの選手に注目して役割ごとに分類できないか試してみることにしました。分類しながらパフォーマンスを考察していきます。

    ※SHの選手は役割が特にユニークなので、割愛しています。
    ※呼び方は独自のものです。業界共通ではないのでご注意ください

    目次

    1. フラットプレイメーカー
    2. SO:李承信
    3. FB:サム・グリーン
    4. ディーププレイメーカー
    5. FB:松永拓朗
    6. FB:中楠一期
    7. ナインスマン
    8. CTB12:中野将伍
    9. フラットラインメーカー
    10. CTB13:ディラン・ライリー

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    フラットプレイメーカー

    フラットプレイメーカーは、どちらかというと浅い位置でのゲームコントロールを役割とします。相手に接近してパスを放る傾向にあり、自分からのワンパスでゲームをコントロールしようとします。

    SO:李承信

    李選手は、リーグワンでは12番や15番を務めていたこともあり、展開力に優れたというよりも、自分のコントロールできる範囲内のプレイングで打開を図るような役割を果たしています。自分でのキャリー比率も一定量見られており、狭い範囲でのコントロールを得意とするタイプに見えます。

    ウェールズ戦の第1戦ではジェネラルフェイズでのボールタッチ回数が少なく、ボールをコントロールする機会自体が少なく、2戦では回数が増えたもののうまくコントロールをすることができていなかった印象です。
    全体的に少ないパス回数でのキャリーが増えていた様相も見られていました。

    個人的な印象としては、李選手のSOとしてのワークレートは、まだまだ発展途上ではないかと感じています。アタック時の展開力には伸び代が感じられ、まだ自分に近い位置でのコントロールに限られているようにも見えました。

    FB:サム・グリーン

    グリーン選手はリーグワンでは10番を背負っていた選手ですが、交代した際の背番号で言うと15番として試合には投入されていました。
    しかし、個人的にはグリーン選手の良さはフラットラインメーカーとしての強さがあると感じています。

    グリーン選手はスピードのあるタイプのプレイメーカーで、アタックライン自体にスピードを与えることができます。
    キックリターン時のカウンターアタックでも特徴を遺憾なく発揮することができ、素早く相手ラインに向けて体を差し込むことができています。

    しかし、ウェールズとの第2戦で出場した際には、少し役割が李選手とかぶってしまっていたようにも感じました。
    李選手とグリーン選手では少しタイプが違うため、共存も可能かとは思いますが、フラットプレイメーカータイプであるグリーン選手が深い位置に立っていることも多く、グリーン選手らしさを発揮する機会は多くなかったようにも見えます。

    ディーププレイメーカー

    ディーププレイメーカーは、アタックラインの深い位置でゲームコントロールを司る選手です。最初のレシーバーとしてゲームを動かすと言うよりは、ラックから見て二人目の選手、二つ目の階層でボールを受けるような立ち位置をとっていることが多く見られます。

    FB:松永拓朗

    松永選手は、残念ながら第1戦の途中で負傷後退となってしまいましたが、リーグワンの戦いの中で15番として優れたプレイングを見せてきた選手です。松永選手はバックラインの比較的深い位置に位置したり、時に浅い位置どりをしてフラットプレイメーカーのような役割を果たすこともあります。
    ただ、個人的には松永選手はディーププレイメーカーに分類できるプレースタイルをしています。

    中央を自力で突き崩す能力よりも、外に生まれたギャップをつくことに長けており、深く遠い位置からスピードを持ってギャップに仕掛けるシーンが多く見られていました。
    パス能力や視野にも長けているため、大きく前に出た後の選択を外すシーンも少なく、安定したプレイングを見せています。

    代表戦では負傷の影響で長いプレー時間がありませんでしたが、第1戦で生まれたトライに関わっていたりと、ポジショニングの能力は見ることができたかと思います。

    FB:中楠一期

    中楠選手は、ディーププレイメーカーの中でも表と裏の両方に選択肢を作ることができる選手です。今回のウェールズとの2連戦、リーグワンで務めていた10番とは違うポジションでの出場となりましたが、深い位置でのゲームコントロールを主軸に、浅い位置での選択肢としてのプレイングも光っていました。

    特徴的だったのが第2戦の前半に見せたビッグゲインで、通常時であれば2枚目の裏に入ることが多かった中楠選手が、このシーンでは表のラインでディラン・ライリー選手からボールを受けていました。
    スピードとアングルも的確で、1回のパスの動きだけで大きなゲインを手に入れていました。

    ただ、今回の2試合では15番、ディーププレイメーカーとしての役割をこなすことが多かった中楠選手ですが、個人的には浅い位置でのプレイング、フラットプレイメーカーとしてのロールも見てみたい気持ちです。
    突破力では他の選手に軍配が上がるかもしれませんが、ファーストレシーバーとしての能力は高いため、可能性が見られるかもしれません

    ナインスマン

    ナインスマンとは、主に12番の選手がこなすことの多いロールで、FWとともにポッドを作ることが多いのが特徴です。パスの頻度は一般的な12番よりも控えめで、接点に強みのある選手が該当する場合が多く見られます。

    CTB12:中野将伍

    中野選手は、サンゴリアスでは器用で接点に強いタイプのキャラクターですが、代表では接点の部分のワークレートが特に重要視されているように感じます。
    9シェイプ・10シェイプ問わずポッドに参加してFWと同じようなロールをこなすことが多く、中盤での展開を担っているシーンはあまり見られなかったのではないかと思います。

    中野選手の持ち味は恵まれた体格による接点の強さです。安定したコンタクトを見せており、シーンによってはオフロードを繋ぐといった器用さも見せることがあります。
    実際に試合を見る限りでも、接点の部分では十二分に戦えていたことが印象に残っています。

    しかし、実際のところ2試合目ではミスが目立つ結果になっていました。
    私は、これの要因として「役割の過多」があると考えています。
    本来であれば器用さから展開にも強みがある中野選手ですが、今回のシリーズでは接点に偏った運用をされていたように感じました。

    基本的にボールを持てばキャリーに繋げ、展開時もFWとしての動きが目立っています。
    その結果としてプレーの精度が下がり、後半のワークレートの低下につながったのではないかと思います

    フラットラインメーカー

    フラットラインメーカーは、アタックラインを構成する選手のうち比較的浅い位置でプレーする選手です。展開と接近戦のバランスもとりながら、キャリーでも強みを発揮する選手が当てはまります。

    CTB13:ディラン・ライリー

    ライリー選手は、ブレイクした後のスピードも含め、全体的にバランスの整ったランナーの一人です。ハンドリングの器用さもあり、キャリーから繋ぐことにも長けています。

    ライリー選手のウェールズ戦での運用としては、どちらかというとキャリー寄りの働き方であったように感じます。展開を司るといったパターンよりも、早い段階でボールを受け、そのままキャリーに持ち込むパターンが多く見られました。

    運用の是非については難しいところですが、ライリー選手の鋭い突破力とハンドリングを生かそうとする流れの中では比較的妥当な運用であったと感じます。
    一方で、ライリー選手が少しラックから近い位置での運用となっていたため、ライリー選手のスピードを生かしきれていないようなシーンもあったように思います。もう少しプレイングエリアを外側にするなどの工夫ができるかもしれません。

    スプリンター(仮名称)

    スプリンターはBKの全タイプの選手の中で特に走力に優れたタイプであると定義しています。スプリンターはエッジで運用され、外で生まれた数的優位を突いて相手を振り切るようにプレーするのが特徴です。

    WTB11:マロ・ツイタマ

    ツイタマ選手はブルーレブズでも外側のエリアを主戦場としています。外側で生まれた空間を生かし、スピードを使ってトライまで取り切ることを得意としています。

    ウェールズとの2連戦では1戦目に出場し、環境などに苦戦しながらの途中交代となりました。アタックラインの深い場所に位置し、展開する役割も任されていたように感じます。
    ただ、キックレシーブなどで特に苦戦していたようにも見えました。

    キックレシーブに関しては環境要因も影響しているかもしれませんが、改善すべき因子ではないかと感じられます。
    また、バックラインの中間地点としてライン参加した時の不安定さも気になる部分ではないかと思います。
    求められるロールとしてはマルチタスクの様相もあるので、この辺りの調整が待たれるかもしれません。

    WTB14:石田吉平

    石田選手はスプリンターであり、ステッパーでもあります。役割としては大外で距離感をキープしながら数的優位性を活用するようにランニングを見せることです。石田選手はツイタマ選手とは異なり明確にインサイドに仕掛けるシーンは少なめで、セットプレーからのフェイズで仕掛け役になるくらいではないかと思っています。

    ウェールズ戦の第1戦ではセットプレーからの一連のフローに絡み、スピードとアングルを生かしながら効果的なアタックに繋げていました。それ以外のシーンでも、スピードと足腰の強さを生かしてエッジでの前進に貢献していました。

    ハイボールでも、ある程度の強さは見せていたように思います。高さ自体はより大柄な選手に劣る部分はあるかと思いますが、再獲得のチャンスを掴むことはできていました。
    それ以外の部分でも安定感のあるプレイングを見せており、主たるロールの部分はこなすことができていたように感じます。

    ペネトレーター(仮名称)

    BKの選手のうち、突破力に優れた選手として定義しています。パワー系のランナーが該当することが多く、走力と接点の強さが特徴になっています。

    WTB11:ハラトア・ヴァイレア

    ヴァイレア選手はエッジに配置されることが多く、エッジで突破力を生かしながらトライを取ることを得意としている選手です。
    数的な優位性が作れていないシーンでも相手を巻き込んで前に出ることがでできるため、外側のエリアでパワープレイに繋げることができます。

    ウェールズとの2連戦では、1戦目の途中交代、2戦目の先発として出場しています。試合ではエッジに近い位置での突破役として活躍し、複数人を巻き込みながら前に出るシーンを見せていました。
    その他のパワープレイも安定しており、エッジでの切り札の一つとしていいプレーを見せていたように感じます。

    一方で、少し課題となったのはハイボールの確保の部分です。回数自体はあまり見られなかったのですが、ハイボールを競り合う段階での「高さ」の部分での不安定性がありました。
    ペネトレーター系の選手は苦手とすることも多いのですが、インターナショナルではキックの重要性が高まる都合上、この部分には安定感が必要かもしれません。

    まとめ

    これらのように、チームから任されているであろうロールと、得意とするロールが重なっていないような選手も見受けられているように思います。
    どちらに合わせるかはHCの匙加減になってくるかと思いますが、現状としては、一定の調整は必要かもしれません。

    ロールはアタックの狙いに沿った組み合わせで効果を発揮するので、うまい組み合わせを模索していきたいものですね。

    それではまた。

  • 【リーグワンコラム】2023-24シーズン:スピアーズ船橋・東京ベイの新加入選手を数値的に比較してみた

    【リーグワンコラム】2023-24シーズン:スピアーズ船橋・東京ベイの新加入選手を数値的に比較してみた

    みなさんこんにちは
    大学ラグビーシーズンお疲れ様でした

    順調にリーグワンの各チームから新加入する大学生が発表されてきています

    UNIVERSISとしてはこの辺りの話題を外すわけにはいかないだろうと、気持ち新たに数値的な分析を始めた次第です

    第1回ということで、前シーズンの覇者でもあるスピアーズ船橋・東京ベイの新加入選手についてスタッツをつけてみたので、よかったらご覧ください

    分析に伴う諸々の定義は以下の通りです

    • 大学生の分析は直近の三試合を対象とし、リーグワン側の選手に関しては「比較をするポジションとして出場している直近の二試合」を対象とする
    • JSPORTSオンデマンドで配信されている映像を分析対象とし、当該試合が配信期限を過ぎている場合はそれに応じて対象試合を減ずるものとする
    • 大学生と比較するリーグワン側の選手はUNIVERSISの独断と偏見で決めるものとし、意見・要望等は必要に応じて受け入れるものとする

    正確にいうと「この選手はこの選手とポジション争いしてほしいなぁ」という個人の願望が反映されているので、「そんなわけないでしょ」という意見もごもっともな場合があります
    そういう場合はぜひコメント等残していってください

    ※Adj. Numbers:大学生の三試合のスタッツの平均値について、大学生側の出場時間とリーグワン側の選手の出場時間とを比べて数値を補正したもの

    それでは順番に見ていきましょう

    目次

    1. 為房慶次朗 – PR3 (明治)
    2. Player Analysis – 為房慶次朗
    3. Player Comparison – 松波昭哉
    4. Challenge to LeagueONE
    5. イジー・ソード – PR3 (拓殖)
    6. Player Analysis – イジー・ソード
    7. Player Comparison – オペティ・ヘル
    8. Challenge to LeagueONE
    9. 江良颯 – HO (帝京)
    10. Player Analysis – 江良颯

    すべて表示

    為房慶次朗 – PR3 (明治)

    Player Analysis – 為房慶次朗

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    為房選手は明治の右PRで、試合全体の9割近い時間をプレーする堅実な選手であるということができるかと思います
    明治の戦略上では9シェイプの特に外側に入ることが比較的多い選手で、キャリーをする回数自体はそこまで多くないですね
    9シェイプをダミーとして裏で動かすプレーも多かったので、セットはしても裏を通されることが多かったようにも見えました

    むしろ、ブレイクダウンへのサポート回数が多く、関連したプレーの中では最も多い数値を示していました
    バックローの選手の方が若干よりが早いので為房選手のよりで勝敗が分かれるようなブレイクダウンはそこまで多くなかったかと思いますが、堅実なプレーを見せていたように思います

    キャリー自体は大学レベルでは強さを誇っており、大きくあおられるようなシーンはほとんど見られませんでした
    ビッグゲインに至らないまでも相手を外して前に出るシーンはいくつも見られており、セットピース以外にも強さを見せていました
    一方ボールに関わらない部分では少し戻りが遅いような様子もあり、「明治だからこそのワークレートだった」という要素もあるかもしれません

    Player Comparison – 松波昭哉

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    スピアーズ所属の松波選手も為房選手と似たようなプレースタイルを求められるような選手であるように思います
    レベルが上がったことに伴うプレータイムの減少こそあるものの、相対的なワークレートは高い水準を求められていますね

    松波選手は9シェイプを主戦場としており、傾向としては中央よりも両サイドのサポートとして入ることが多かったように見えました
    スピアーズはLOやバックローに強いキャリアーが揃っており、「ボールを受ける選手」と「サポートに入る選手」の役割分担は比較的明確に決められているように思います
    より強い選手に前に出る役割を任せる感じですね

    ディフェンス面ではラック側に立っているように見えます
    エリアにもよりますがリーグワンではピック&ゴーを積極的に採用するチームはそこまで多くないと思うので、より動きの少ない状況でキャリアーが全身を狙ってくるエリアにPRの選手が配置されているイメージでしょうか

    Challenge to LeagueONE

    アタックフローに直接関わる部分となるキャリーやパスの部分では為房選手の方が単純計算では多いプレー回数を示しており、一方でディフェンスに関わる水準の部分では松波選手がプロとしての水準を見せているように思います

    明治のラグビーは「前へ」が押し出されるFWとBKの強さを活かしたコンタクトを厭わないアタックスタイル、体を張って相手を止め切るディフェンスを兼ね備えたまさに「ハイブリッド重戦車」と呼ぶに相応しいものであると思います

    一方スピアーズは体が強く前に出ることができるFWと大きくボールを動かすことのできるBK陣が揃っており、どちらかというとFWのボールタッチが多くなるようなアタックをしています
    ディフェンスに関しては相手にもよりますが、どの選手も堅実に体を張る印象です

    そのため求められる役割は大きくは変わらないものの、スピアーズでプレーするにあたって為房選手はより一層サポートに徹したプレーが求められるようになってくるのではないかと踏んでいます
    明治に比べると外にボールを動かす回数も増えてくると思うので、グラウンドを大きく動いて主体的にアタックシェイプの構築をする必要性も出てきますし、運動量全体も増えてくることでしょう

    イジー・ソード – PR3 (拓殖)

    Player Analysis – イジー・ソード

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    ソード選手は恵まれた体格とチームのアタック傾向からボールキャリーを多く求められる動きをしていました
    キャリーを求められるためそもそものボールタッチが多く、最大で一試合20回近くのボールレシーブをすることもありました
    アタックに関連したプレーの中ではキャリーが比率的に最も多くなっており、パスやラック参加は二の次といったような印象です

    プレータイムもPRとしてはかなり多い部類に入っており、分析対象とした三試合ではフル出場を求められていました
    悪い言い方になってしまいますがそれだけチームの中では依存されていたということでもあり、リーグワンに行けば用いられ方は少し変わってくるような気もしています

    アタックの立ち位置は9シェイプの中央が最も多く、ポッドのサイドにつくようなシーンはほとんど見られなかったように思っています
    基本的にはキャリアーとしてボールを受けることが求められているような感じですね

    一応はボールを受けてからスイベルパスで裏に下げるようなプレーをすることもありますが、場を動かすほどのうまさはなかったようにも見えました
    ソード選手自身が優れたキャリアーなので、上手く使えれば相手を釘付けにすることもできたかとは思いますが、正直拓殖はその辺りをうまく活用できていなかったようにも思います

    ワークレートや運動量とも言われるような部分に関しては、個人的には「悪くはないがチーム事情もあって効果的な働きはできていなかった」ということができるかと感じています
    数値的に見ると比較的動いているように見えますが、試合を総じてみると全体的に動いているエリアは狭めで、若干セットまでが遅かったようにも見えました

    Player Comparison – オペティ・ヘル

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    ヘル選手はスピアーズの選手の中でも前に出る力が随一の選手であり、ソード選手とも近い体格をしていたので選出しました
    ヘル選手自身もまだ若手なのでそう易々とポジションを明け渡すことも少ないかとは思いますが、プレースタイル的にコンタクトが避けられないために怪我で長期離脱する危険性もあり(2024年1月現在離脱中)、同じようなプレイングができる選手は求められていると思います

    ヘル選手の売りは何よりもキャリーをした時のインパクトにあると思います
    ボールタッチの回数こそそこまで多くはないものの、キャリー回数に対するタックルブレイクの回数が比類のない多さとなっています
    毎回のキャリーで相手を弾き飛ばしているくらいの勢いですね
    弾いた後の走力もあるので弾いただけで終わることが少なく、コンタクト時点から大きく前に出ることができるのも特徴です

    基本的には9シェイプに入ることが多い選手ではありますが、優れたSOがいるスピアーズでは10シェイプに入ることもあり、コンタクトで勝負するエリアを動かしている印象です
    大まかな位置としてはエッジで起きたラックからは2ポッド目に立つことが多く、より中央に近いエリアでのコンタクトが求められているイメージです
    人数の少ないラインアウトではリフターではなくアタックラインに参加していることから見ても、ヘル選手がどれほどキャリアーとして重要視されているかがわかります

    ディフェンス面では守るエリアの影響もあるとは思いますがタックル成功率も高く、体の強さを活かして相手を大きく押し戻すことができています
    走力もあるのでキックチェイスではフロントラインに立っていますし、総合的なワークレートも高そうな印象です

    Challenge to LeagueONE

    ボールレシーブの回数単体で見るとソード選手の方が多く、チームのアタックに対する寄与率は高いということができるかと思います
    チーム事情からか出場時間も長いですし、一試合通じてプレーに参加し続けることができる能力はすでに有しているということができるかもしれません

    むしろソード選手に求められるようになるものとしては単純なワークレートだけではなく、参加したプレーに対するより優れた効果量はないかと思っています
    つまり、「同じワークレートで得られる貢献度を上げる」といったところになるでしょうか
    現時点ではソード選手はワークレートは高くてもチームへの好影響という面ではインパクトを与え切ることができていないような印象があるので、この辺りを向上させていく必要がありありそうです

    もちろん今後のスピアーズがどのような組み立てをしていくかといったところによって変わってくるかと思いますが、セットピースでの貢献はもとより、アタック・ディフェンス面での貢献度を上げることでチームのセレクションに引っかかってくるかと思うので、その辺りを期待していきたいですね

    江良颯 – HO (帝京)

    Player Analysis – 江良颯

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    江良選手は機動力とパンチを兼ね備えた、帝京を優勝へと導いたキャプテンでもあります
    体の強さやブレイクダウンでの強さもありますし、走力やパススキルといった攻守両方にわたる器用さも持っている、大学有数のHOであると考えています

    ボールタッチの回数としては中程度、パスよりはキャリーの方が多いといった使われ方をしていましたね
    アタック参加には柔軟性があって9シェイプにも10シェイプに入ることがありますし、9シェイプに入る時にはスイベルパスを挟んだりとうまさを垣間見ることができます
    セットピースの位置によってはエッジに立っていることもあって、さまざまなアタックシェイプに対応することのできる懐の深さがあると思います

    ディフェンス面でも体の強さを活かしたタックルをするシーンもありますが、少しタックルミスが目立ったシーンもあり、特に細かいステップに対応するのには苦労していたような印象です
    全体的に姿勢が前がかりになっているような様子もあって飛び込みがちになっており、それによってタックルを外してしまう場面も散見されました

    Player Comparison – デイン・コールズ

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    コールズ選手はオールブラックスで長年戦ってきた選手であり、ベテランではありますが走力を生かしてトライも量産してきた選手ですね
    エッジエリアに立つことも多く、ボールを受けてから独走することもできるセットピースでの活躍にとどまらない万能型な選手であると感じています

    本来たスピアーズの(おそらく)正HOは南アフリカ代表のマルコム・マークス選手なのではないかと思っているのですが、マークス選手が怪我に伴う手術をするために代わりに登録されたのがコールズ選手という形ですね
    プレースタイルとしては少し異なっており、セットピースを安定させることは当然のこと、マークス選手はブレイクダウンの攻防に、コールズ選手はジェネラルプレーの安定感に強みがあると思っています

    プレー参加数的にはそこまで多くはないのですが、ボールに関わらない部分でのワークレートが高く、グラウンドを大きく動くことを厭わない動きを見せていました
    いわゆる「オフザボール」の動きでもあり、数値には表れにくい良さであると思っています

    また、試合を見ていて特に気になったのはコールズ選手の「広い視野」です
    ディフェンス時により一層発揮されていた良さだと思うのですが、普通のHOの選手に比べると明らかに「首を振る回数」が多かったように見えました
    それに合わせて積極的に声や身振り手振りでコミュニケーションをとりながら動いており、「ここは固めたい」と思うような場所をしっかりと埋めてくれる選手でしたね

    タックル精度が高いのも高評価ポイントですね
    ディフェンス時に主に立っているポジションが中央寄りであるということもあってミスも起きにくいとは思いますが、相手を仰向けに倒すようなシーンこそ少ないものの堅実なディフェンスを見せており、相手が嫌なところをきっちりと守ってくれていたように思います

    Challenge to LeagueONE

    同ポジションということもあってコールズ選手をチョイスしましたが、身長的にはコールズ選手が14cmほど高いということもあり、一概に同じものが求められるというわけではないと思っています
    特にセットピースの部分では江良選手の170cmという小柄な体格はどのように転ぶかわかりませんしね

    数値的にはボールを動かすという点においては十分なパフォーマンスを発揮することができているとは思いますが、ボールに触れない位置での動き方の精度というものは求められてくるのではないかと思っています
    コールズ選手に限られた話ではありませんが、特にコールズ選手と同じ水準を求めるのであればFW的なイメージ以上の広い視野は必要になってくるかと思います

    ディフェンス面で言うと、もう一段階タックルの質は上げていきたいところではないかと思います
    相手チームにもよりますが、リーグワンではHOが守ることの多いエリアでもWTBの選手がムーブで仕掛けてくるようなシーンもあり、質的に優位性を取られた状態でいかに相手を確実に倒すかといったスキルも必要になってきそうですね

    梁川賢吉 – FL (筑波)

    Player Analysis – 梁川賢吉

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    梁川選手は堅実に体を張る筑波のFWを体現しているような選手で、走行距離も長く移動量的には高いワークレートを示している選手であると思っています
    プレーへの参加回数はそこまで高くはないですが、アタック・ディフェンスの両面で穴を埋めるような動きをしていました

    ボールタッチは平均5回ほどとあまりボールに触れる機会の多い選手ではありませんが、倍以上のラック参加数を示しており、アタックへの貢献度は比較的高いものがあるかと思います
    攻撃的なムーブはしませんがラックをきちんと安定させることができ、全体的にチームを落ち着けるような働きをしていたように見えました

    そのような傾向もあってか全体的にサポート寄りのプレー・性能をしてるので、味方としっかりコミュニケーションを取ったりとプレーの中心選手になっていましたね
    ディフェンス時もしっかり動いて穴を埋め、できたラックに応じてしっかりとフォールディング=ラックを挟んで逆サイドへ移動したりもしていました

    一方で攻撃面に関してはチームに勢いを与えるようなプレーはそこまで見られず、キャリーをしてもグッと前に出るというよりかはラックを安定させる方に注力しているような印象を受けました
    近年のバックローに求められているインパクトという点では他校の同ポジションの選手の後手に回っている感じですね

    ただ、ラインアウトに関しては高いスキルがあり、リフトやジャンプの良さもさることながら相手ボールに対する読みからスティールも見せていたりと、挑戦的な姿勢もしっかりと見せていました

    Player Comparison – ピーター・ラピース・ラブスカフニ

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    ラブスカフニ選手は日本代表のキャップを有する経験豊かなFLで、派手なプレーではなく堅実なプレーで体を張るタイプの選手ですね
    プレー一つとってもスキルと体の強さの水準が高く、チームのアタック・ディフェンスに安定感をもたらすことができます
    (個人的には2019W杯ロシア戦でのリップから独走トライした時のラブスカフニ選手が大好きです)

    梁川選手と似たような体格であるラブスカフニ選手ですが、チームにより高身長の選手が揃っていることもあってかラインアウトではメインジャンパーではなさそうな印象があり、人数が少ないライナウトではアタックラインに参加することが多いイメージです

    アタック面では動きが大きくなることの多い10シェイプに入ることが多く、ボールを積極的にもらいにいくというよりはサポートプレーに徹しているような感じですね
    ラックへの参加回数がその堅実さを示しています

    特筆すべきはディンフェンス面での動きで、タックル成功率もさることながら凄さは「総タックル数」にあります
    調査した二試合ではミスタックルがなく結果的に100%となったタックル成功率の一方で、驚くべきは一試合平均22回以上のタックル数です
    ディフェンスでのポジショニングする位置に相手が多く仕掛けてくるという背景を鑑みても驚きの数字です
    しっかりと穴を押さえてくれているというところが見て取れますね

    Challenge to LeagueONE

    走行距離や絡んだプレーの数から見ても梁川選手の運動量も悪くはないのですが「ここを伸ばした方がいい」という点を挙げるとするならば、おそらくは「ディフェンス面での貢献」といったところになってくるかと思います

    ポジショニングの影響があるとはいえラブスカフニ選手は20回以上のタックルを毎試合見せており、一方の梁川選手は10回程度という数値に収まっています
    リーグワンではより高い強度でより多くのコンタクトシチュエーションが起きるということを鑑みると、より体を張ったプレイングが必要になってくることになりそうですね

    また、アタック面で前に出る意識というのも伸ばしていくと面白いかもしれません
    梁川選手のプレーは安定感がある一方でチームのモーメンタムへの貢献度は若干低く、少しテンポが変わってしまうシーンが見られています
    スピアーズのラグビーはバックファイブの選手の前に出る勢いによってモーメンタムを変えている印象もあるので、この辺りはより攻撃的になっても面白いかと思います

    溝渕元気 – SH (関西)

    Player Analysis – 溝渕元気

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    溝渕選手は良いアタック感を持ったSHで、パスをメインにチームに勢いをもたらし、ゲームを動かす選手です
    プレータイムも長くチームに大きな貢献をしていることでしょう
    どちらかというとパス特化型といった感じですかね

    関西大学のアタック傾向の影響もあって少しテンポは遅めなアタックを繰り広げてはいましたがパスの精度は高く、次のラックの読みもいいのでセットまではかなり早いペースでできていたと思います
    惜しむらくは関西のアタックテンポで、全体的に遅いのでそのセットの速さを活かしきれていなかったようにも見えました

    近年のSHとしては珍しくそこまでボックスキックを蹴らないタイプのSHで、パスでボールを捌くことが多かったですね
    ボックスキックの質自体は改善の余地もありそうな雰囲気で、15mほどの距離で蹴ってはいますが対空時間が短く、結果的に効果的なキックにはなりきれていないような感じでした

    ディフェンスに関しては一般的な水準といったところでしょうか
    相手によってはミスが嵩むところが気になりますね
    基本的にはラックの後方に立っているので最前線に立つことはそこまで多くはありませんが、バッキングアップをすることが多いポジションなので1対1になるシーンも多くなっていたように思います

    Player Comparison – 藤原忍

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    スピアーズの攻撃を支える攻撃的なSHで、ボールタッチの多さとボールをテンポよく動かす良さを兼ね備えています
    怪我で薄くなっているスピアーズのSH層を支えているという点では重要度もかなり高そうですね

    パス回数は一試合で約50回程度となっており、プレータイムも長いのゲームへの貢献度は高いかと思います
    SOにゲームをコントロールできる選手が揃ってはいますが、藤原選手本人のいい持ち出しなどでSHからゲームをコントロールすることもできるのではないかと思っています

    特徴的なのは良いサポートコースから生まれる効果的なキャリーで、回数こそ少ないものの1回のキャリーから盤面の流れを変えることができているように見ています
    キックの判断や距離感もいいので相手を大きく動かすこともできますし、自分から前に出ることもできる攻撃性が良さとしてあげられるかと思います

    Challenge to LeagueONE

    アタックに関連する要素の範囲では溝渕選手と藤原選手の間に大きな差異はないように感じています
    もしあるとしたらスピアーズのアタックに求められるレベル感でのテンポを溝渕選手が生み出すことができるかといった点でしょうか
    関西大学は若干アタックの動きが遅かったので、そのテンポに慣れるのには少し時間がかかるかもしれません

    目指すべき水準の部分で大きく変わりそうなところとしては「ディフェンス時の動き」といったところになってくるのではないかと思っています
    藤原選手は他選手への声掛けもさることながら、自分が適宜生まれたギャップに入って隙間を埋めるような動きをしており、タックルをするまでは至らなかったとしても「ギャップを作らないようにする動き」という点では大学レベルではあまり求められない動きをしていたように思います

    溝渕選手は関西大学時には基本的にラックの後方に立って味方を動かすことをメインの動きとしており、自分から積極的にエリアを埋めるというような動きはしていなかったように見えました
    そのためにフロントラインを押さえきれていないようなシーンもあったので、この辺りの発想の転換も求められてくるかもしれません

    廣瀬雄也 – CTB12 (明治)

    Player Analysis – 廣瀬雄也

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    廣瀬選手は明治のゲームコントロールを担う3人の選手達の1人で、CTBというポジションからゲームを動かしていくことのできる選手であると思います
    ラックからのパスの1stレシーバーになることもあり、大きくボールを動かすこともできる選手ですね

    キックが伸びること、FBに入っていた池戸選手がどちらかというとコンタクトに強みを持っていたこともあって少し後ろがかりのポジショニングをしており、アタックでは前、ディフェンスではバックフィールドを守るような形でポジショニングをしていました
    相手がキックをしてくるとわかった場合には早めに後ろに下がっていましたしね

    アタックでは少し外寄りの位置どりをしており、比較的2ndレシーバーに入ることが多そうな様子となっていました
    相手を振り切ることができるほどの走力は見る機会はありませんでしたが、キャリーそのものは安定していたのでどのエリアでのキャリーとなってもミスにはつながっていなかったように思います

    ディフェンス時は基本的に後ろを守っているのですが、追いかける動きを少し苦手にしているのかタックル成功率が下がっていましたね
    自分よりも前で相手を追いかけている味方選手と動きが被ってしまうことがあり、結果的にワンステップで2人とも振り切られてしまうような状況が何度か見られていました

    Player Comparison – 立川理道

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    日本代表経験もあるCTBとして体を張ることができる名選手ですね
    天理大学時代はSOを務めていたこともありゲームを俯瞰的に見ることができる稀有な12番だと思います
    近年の12番は少しフィジカルが求められる選手が増えてきていますしね

    バーナード・フォーリー選手の負傷に伴い現在はSOを務めていますが、廣瀬選手に求められるであろう選手像に照らし合わせて立川選手をピックアップしました

    アタック面では似たような要素を持つ両選手ですがディフェンス面では少し毛色が異なっていて、キックを主体に後方を守る廣瀬選手と体を張ってフロントラインを守る立川選手といった感じですね
    ディフェンスラインではFWとBKの境目のあたりという重要な位置どりをしていて、10シェイプで仕掛けてくるFWの選手に対してもタックルを仕掛けにいくような立ち位置をしています

    アタック面ではパスの多彩さが目立っていて、表裏の使い方も長短の投げ分けも素晴らしいものがありますね
    スピアーズの選手はタレントが揃っているのでどのエリアでも勝負することができるため、投げ分けをすることで相手の狙いを外すことができます
    そのため、視野の広さも合わせてどちらかというと「体を張れるSO」といった要素が強い選手ではないかと踏んでいます

    Challenge to LeagueONE

    数値的に見ると、ディフェンス面でのタックル数の差が目立っていますが、これは主にディフェンス時の立ち位置によるものではないかと思います
    廣瀬選手に比べると立川選手の方がより前線に立っているという要素があり、エリア的には中央であることから相手とのコンタクトを避けられない状況という形になっています

    一方廣瀬選手は後方を守っているため逆サイドでのラインブレイクなどへの対応が難しく、キック対応もあるので安易にコンタクトに参加できないという状況もあります
    スピアーズでどのようなポジションにチャレンジするかは分かりませんが、この辺りの転換はもしかするとあるかもしれませんね

    また、ゲームコントロールを担う選手の増減に伴って求められるボールタッチの回数やパス回数も変わってくるかもしれません
    現時点ではBK3の選手はアタック時はエッジに張ってボールを待っていることが多く、明治の池戸選手のように積極的にラックからボールをもらいにいくような雰囲気ではないので、廣瀬選手の相対的なボールタッチは増えていくのではないかと思っています

    山田響 – UTB (慶應義塾)

    Player Analysis – 山田響

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    山田選手は今シーズンの慶應義塾のラグビーの中心となった選手で、自分のプレーで大きく勢いをもたらすことのできる選手です
    コンタクト単体では後手に回ることが多いですが、走り込むコースやキックを交えたキャリーで場をいい意味で荒らすことができる存在であると見ています

    重要さを表すかのようにプレータイムも長く、4年間通じて様々なポジションにチャレンジしているのもポイントですね
    今シーズンはSOに注力していたものの、アタックセンスとしてはBK3に近いものがあったような気がします

    SOということもあってゲームを動かす役割を担っていたかと思うのですが、ボールを動かすことに関して言えば他チームの専門のSOの選手の方に一日の長があったように見ています
    キックもできますしパスも下手なわけではないですが、「ゲームのコントロール」に関しては苦労していた印象です

    その代わりランニングセンスやそれに伴うキックスキルに関しては優れたものがあり、特にシーズンの早稲田戦で見せてチップキックから再獲得してビッグゲイン・トライとなったシーンは素晴らしいの一言ですね
    ステップも上手いですし、走り切るスピードもあるのが強みですね

    一方でディフェンスは総じて見ると改善の余地はありそうです
    エリアによっては前に出てくる山田選手ですが、少し視線を切ってしまったり内側に立ちすぎたりして外を切られるシーンが多かったように思います

    Player Comparison – 木田晴斗

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    現時点で山田選手がになっている立ち位置とは違うポジションですが、「利き足が左」という観点で木田選手がポジション争いの土俵に出てくるかと思い、ピックアップしました

    木田選手は力強いランニングと鋭角なステップが強みのWTBで、日本代表候補にも絡んでくる世代を代表するランナーです
    スピードもありますし、自分が勝負するエリアがはっきりしているという点で相手を自分の土俵に持ち込むことができる強さがあると思います

    基本的には自分のポジションを大きく変えることがないのでアタックへ絡む回数は少なめですが、キックチェイスやラインのセットといった労力を要するシーンでは堅実に動いており、「外で勝負できる」という相手へのプレッシャーを与えているように見えました

    ディフェンス面ではミスも少なく体を張ったタックルをすることができており、BK3の構成によって求められる動きが違っても安定したフィールディングを見せています
    ライン参加の重要度が高いのかブレイクダウンへの絡みはないですが、しっかりと穴を埋めてくれる感じですね

    Challenge to LeagueONE

    この一年で担当してきたポジションが違うこともあってかスタッツできには大きな違いが出ていますね
    特にSOといったボールタッチの多いポジションを担っていた山田選手の方がアタックに関連したスタッツに関わる数値が多くなっています

    山田選手がどのポジションを主に担うようになるかは分かりませんが、もしWTBを担当するようになれば決定力といった部分はかなり重要視されると思うので、この辺りは安定感と工夫が求められるかもしれません

    また、ディフェンス面では似たような動きをしているかと思いますが、より戦略的にキックを交えたアタックをしてくるリーグワンの方が、求められるフィールディングの質が高くなってくると思うので、より一層広い範囲での動きを研ぎ澄ませる必要がありそうです

    まとめ

    徐々に明らかになってくる各チームの新加入選手情報が楽しみになってきますね
    この記事がうまい具合に伸びてくれれば他のチームも記事を書こうと思うので、よかったら楽しみにしててください

    今回は以上になります
    それではまた!