【マッチレビュー】2025ニュージーランド代表対フランス代表第1戦

不運な状況でも掴んだ勝利

みなさんこんにちは
暑い中いかがお過ごしでしょうか

さて、今回は日本時間7/5に行われたテストマッチから、ニュージーランド代表対フランス代表の試合について、レビューをしていきたいと思います

それでは順番に見ていきましょう

ニュージーランド代表のラグビー

テンポを上げる様相を見せていた

ニュージーランドは、コーチの試合前の発言通り、テンポを重視したラグビーをしていました
SHからの球出しも早く、素早くセットしてアタックのテンポを上げようとする様子が見られています。

テンポを上げるメリットとして、相手のセットよりも先に攻撃を繰り広げることができるという点があります。
相手よりも先にセットをしてアタックをすることができれば、位置的な優位性や数的優位性を活かしてアタックをすることができます。

ニュージーランド代表がテンポを意識していた傾向の証左として、球出しの速さの他にも「ピックゴーを多く用いていた」という様相があります
ピックゴーはパスを介さずにダイレクトにラックからボールを持ち出す動きで、タイミングと状況が整えば後ろに下げるリスクを負うことなく前に出ることができる手段でもあります

SHに入ったキャム・ロイガード選手とコルテツ・ラティマ選手はともにテンポを上げることのできるSHで、自分でボールを持ち出したりと攻撃的な様相も見せています
ラックの周辺にポジショニングしているFWの選手に対して、SHという特性を活かしたアタックをすることで、ミスマッチをつくことができるという特徴もありました

ポッドを中心としたアタック構造

アタックの起点となるのは、ラックからボールを受ける3人の選手によって構成される9シェイプで、基本的に中盤には3人の選手によるポッドが二つ配置されます
多くのフェイズではこれらの基本的な構造を用いてアタックをしていました

ただし、注意したいのは必ずしも3人のポッドだけでアタックを作り上げているわけではないという点です
10シェイプにおいては、特にテンポをあげてバックラインを使おうとする時などに、2人の選手でポッドを完結させるようなシーンも見られていました

また、ジェネラルなシーンでもポッドの人数は可変的で、FWの配置の人数が変わるというよりも、BKの選手が参加することで人数が変わっているシーンが見受けられました

12番のジョーディ・バレット選手や13番のビリー・プロクター選手は、ポッドに対して第3・第4の構成員として参加しています
ポッドに参加する位置はフェイズによってまばらで、中央に位置することが多い一方で、端に位置するシーンも見られていました

CTB陣がポッドに参加するメリットとして、(基本的に)ハンドリングに長けたBKの選手をポッドに組み込むことによってアタックを安定化させることができます
また、ポッドの一員としてCTBの選手を組み込むことによって、さらに外側でポッドを作ることもできるので、ポッドの数を増やしてバリエーションを作ることができるという側面もあります

そういったBKの選手を組み込みながら、ポッドは4人や5人で構成されているシーンもありました
後述するフランス代表のポッドでも似たようなシーンが見られていましたが、ニュージーランド代表の方はBKが中央にポッドをスプリットするように参加する形で、ポッドにボールが渡ってからのオプションを増やしていました

プレイメーカーによるゲームコントロール

ゲームのコントロールをしていたのは10番のボーデン・バレット選手と(不運なことに前半すぐに交代出場した)23番のダミアン・マッケンジー選手でした
両者はスーパーラグビーで共に10番をつけている選手で、プレイメーカーとして早い段階でボールを受けてコントロールしていました

両選手ともに判断に優れた選手ですが、特にボーデン・バレット選手は自分の判断の優先順位が上がった際にはポッドを破るように前に出ながらアタックラインに参加するようなシーンもあります
マッケンジー選手はどちらかというと少し後ろ重心のアタック参加で、少し空間があるような状況でボールを受けているように見受けられました

また、2選手を含むバックスラインが安易に順目に回らないようにしているシーンも見られていました
特にゴール前でのアタックシーンにおいて、BKの選手は比較的ラックに近い位置どりをしながら滞留し、状況判断でチャンスと見た場合には展開してアタックラインを形成していました

どちらのサイドにも動的にアタックラインを作ることができる状況を準備することによって、相手のディフェンスに対して後出しでセットをすることができます
特にサイドを切り替えながら動的にアタックラインを作る「スイング」という動きにコンパクトに繋げることもできるため、より意思決定と状況判断に応じた動きであると言えます

フランス代表のラグビー

特徴的なポッドによるコントロール

基本的にはこの特徴に尽きるようなラグビー構造に見えました
各選手のロールは似通ったものも多く、明確な位置関係・役割の分担があるというよりは、瞬間瞬間の最適解になる選手が定められたポジションに移動するというような形をとっていたように感じます

フランスのポッドの特徴は、極めて流動的で余白のある構造をしていることです
基本的な構造としては3人構成を中心としながらも、多くのシーンで4人から5人、多い時は6人ほどの集団一直線上に並んだような構造をしています

果たしてポッドと呼ぶのが正しいのかわからないような構造をしていますが、ここではポッドと呼ぶことにします
フランスのポッドはフェイズによって人数が変わり、わかりやすく尖った形というよりは、線形の構造をしています
イメージとしては、バックスラインに対してFWのフロントラインが傘のように被さっている状態です

おそらくアタックの中心になっているのはポッドを使った個々のスキルや優位性を使ったキャリーで、ポッドを使ったキャリーでいかに前に出るかといった点の重要度が高いラグビーをしています
あえて言及するのであれば、「FWで縦を突き、BKで横に広げる」といった極めてクラシカルな構造かもしれません

このポッド構造には、BKの選手が参加することもあります
12番のガエル・フィクーや13番のエミリアン・ゲイルトンは、テンポの加速に合わせてフロントラインに立つようになり、フロントラインとバックラインの境界が曖昧になるようになっていました

シーンによっては11番のギャビン・ビリエールが参加するようなシーンも見られています
しかし、ポッドに参加する際にBK特有のロールがあるようには感じられず、あくまでもポッドを構成する一選手としてのプレーに徹していたようにも感じます
そのような点で、選手たちのロールは似通っていました

ポッド内のプレースタイル

また、ポッド内のパスワークが多様だった点についても注目しています
基本的にポッドの中のプレースタイルとしては、そのまま自身でキャリーに持ち込むか、一つ横の選手にパスをする、またはバックラインに対してスイベルパスをする、といった形が考えられます

フランス代表は、このパターンの中で「パス」に特化したプレイングを見せていました
スイベルパス自体はそう多くはなかったように感じていますが、ポッドの中でパスを使って打点を切り替えるという点において、他の国にはあまり見られないようなバリエーションを見せていたように思います

まずは基本となるティップオンパスですが、こちらもある程度「好んで用いている」くらいの頻度で見られていたように感じます
こちらのパスは打点を切り替えることに活用されており、相手とコンタクトする直前でパスを出すことで1対1を安定して作ることができていました

また、特徴的だったのはポッド内のミスパス、いわゆる「飛ばしパス」と呼ばれるパスを見せていたことです
基本構造である3人ポッドであればなかなか活用が難しいミスパスですが、フランス代表は4人以上のポッドも多く用いており、多くの選択肢を同時多発的に準備することでパスのバリエーションも増やしていました

特にポッドの外を見ているニュージーランド代表のディフェンスにとっては、裏に立つバックラインへのフォーカスも切らすわけにはいかず、フロントラインの中で大きくボールが動くことによって完全に崩されるようなシーンも見られていました

まとめ

ニュージーランドとしては、少し物足りない結果といったところでしょうか
近年苦戦していた相手ということもあり、「マストウィン」が求められる試合だったと思います

今回の試合では勝利を収めることができましたが、フランス代表のメンバーがノンキャップの選手が多かったこともあり、もう少し圧倒したかったかもしれません
まだ今後も試合があるので、注目していきたいところです

それではまた

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